ここまでの旅で、ルータの中の辞書が動く仕組みを概念で読み解き、1行を書き足し、 show ip route で辞書の現在地を3つの軸で読み、最後に書く道具の適性 — 規模 × 変動の2軸で『少なくて動かない網』ではスタティックが最もシンプルで強い — まで腹に置けた。
そこで、ひとつの渇きが残った。動く網には次の道具が要る、と言葉だけ受け取った。 では、その「次の道具」は、何の追いつかなさを解こうとしているのか。
本話では、本社2拠点だった網に支店が10ヶ所、20ヶ所と増えていく場面を観察する。 書く本数が組み合わせで増え、経路が1本変わるたびに関連する全員で書き直しが 伝播する。誰か1人が忘れたら、通信が止まる。
その脆さを並べたとき、動的ルーティングが解こうとしている問題の輪郭が見える。