前話で「隣に聞いて +1 で受け取るだけで辞書が広がる」という距離ベクタの素朴さに 感動した。けれど、そのとき手元に残った 2 つの問いがあった。距離は、どこまで遠く まで積み上がれるのか。経路が消えたら、その情報は隣に伝わるのか。
本話で、その 2 つの問いに正面から答える。
1 つ目の壁は、「16 hop 以上は届かない」と決められた hop 上限。これは大きすぎる 網が扱えないという制限であり、同時に、count-to-infinity を有限時間で打ち切る 装置でもある。
2 つ目の壁が count-to-infinity だ。リンクが落ちて経路が消えた瞬間、互いに古い 情報を信じ合って、距離が際限なく増えていく現象。
どちらも「距離だけで測る」という発想の構造的な帰結。素朴さと限界は、同じ物差し の裏表だった。