前のお話で、境界には外でも通用する世界で一意な住所が用意してあって、外に出る瞬間に 住所が名乗り直されることを腹に置いた。応答は世界で一意な住所宛で戻ってきて、境界が 内側の住所に書き戻す。
でも、お話の最後に渇りも残っていた。境界の手元には、その往復を支えるために何かが 残っているはずだ — そして、名乗り直しはいつもこの形で起きるものなのだろうか。
IPヘッダには送信元と宛先という 2 つの住所欄が並んでいる。境界はその両方を同時に 書き換えているのか、それとも片方だけなのか。社内に置いたサーバを外に公開するときは、 外から先に通信が来る。その場面でも、書き換え方は同じなのか。本話では、書き換える側が 通信の向きで決まるという、設計の対称性に出会う。